【GSOMIA破棄】韓国の見切りに日本「まさか、困るのは韓国では…」 韓国「自尊心守ることも重要」

韓国大統領府は22日、日韓軍事情報包括保護協定（GSOMIA）を破棄することを決めた。元徴用工問題に端を発した日韓の対立は、通商問題から安全保障協力にまで発展した。北朝鮮への対応などを念頭に継続を求めてきた日米両政府は韓国の破棄決定に衝撃を受けるとともに、北東アジアの安全保障環境の変化に対する懸念を強めている。

　◇韓国、世論配慮「自尊心守ることも重要だ」

　「日本が歴史問題を安保問題に転換した状況下で、GSOMIAの有効性を検討せざるをえなかった。我々を安保友好国と見なしておらず、韓日の安保協力関係の根幹を揺るがす行為だ」。韓国の青瓦台関係者はGSOMIA破棄に至った理由をこう説明した。

　日本政府が半導体材料の輸出規制強化に加え、安全保障上の輸出管理の手続きを優遇する対象国「グループA（ホワイト国）」から韓国を除外する方針を発表したことで、日韓関係は急激に悪化した。韓国では元徴用工問題への対抗措置と受け止められており、世論の反発が強まったためだ。

　韓国政府は日本政府に除外措置の撤回を要求。GSOMIAの破棄を「交渉のカード」としてちらつかせる一方で、対話による解決に応じるよう求めてきた。

　8月15日の日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の演説でも文在寅（ムン・ジェイン）大統領は批判のトーンを抑え、「今でも日本が対話と協力の道に出たら、私たちは喜んで手を取る」と対話を呼びかけた。日本で28日に「グループA」から韓国を除外する政令が施行されるのを前に、最後の望みをかけた形だ。

　ところが、21日に北京郊外で行われた日韓外相会談でも日本の態度に変化はなく、除外措置の撤回の見込みがないと判断した模様だ。青瓦台関係者は「政府内でも7月末までの状況を見れば、GSOMIAを維持する方が多数だった」と明かし、ここ最近の日韓間の協議が破棄の決定打になったことを示唆した。

　韓国国内では、日本製品に対する不買運動が起きたのに加え、輸出規制強化に反対する集会でGSOMIA破棄を求める声も上がっていた。青瓦台は世論調査を通じて国民の意思を把握したとし「国益には、大義名分と実利、そして国民の自尊心を守ってあげることも重要だ」（青瓦台関係者）と、決定の際に考慮したことを明かした。

　北朝鮮によるミサイル発射などの際、人工衛星やレーダーを通じた日本の分析能力は高いとされ、GSOMIAの破棄は韓国にとっても国益を損なうとの指摘も出ていた上、米国はGSOMIAの延長を望んでいたとされる。青瓦台関係者は「3国間の安保協力が壊れたり、日本との情報交換が完全に遮断されたりすることはない。米国は我々の政府の決定を理解している」と主張した。【ソウル渋江千春】

　◇日本政府、一貫して協定の重要性指摘　「情報共有が…」

　韓国によるGSOMIA協定の破棄に、日本政府は衝撃を受けている。日韓は元徴用工問題などで激しく対立するが、「安全保障協力は続ける流れ」（海上自衛隊幹部）と見ていたためだ。北朝鮮問題をにらんだ日米韓の連携が揺らぎかねず、外務省幹部は「誠に遺憾だ。外交ルートで抗議する」と語った。

　安倍晋三首相は22日、記者団からの声かけに応じず、硬い表情で首相官邸を後にした。菅義偉官房長官は、破棄に先立つ記者会見で「協定は地域の平和と安定に寄与する。日韓関係が厳しい状況にあるものの、連携すべき課題は連携していくことが重要だ」と強調していた。

　日本政府は一貫して協定の重要性を指摘し、韓国側に延長を促してきた。河野太郎外相は21日、北京郊外で開かれた日韓外相会談で更新を要請。ポンペオ国務長官ら米政府高官も、協定の延長を求めたとされる。日本政府内には「米国も関心を寄せており、韓国もまさか破棄はできない」（外務省関係者）との見方も出ていただけに、落胆が広がる。

　GSOMIAがなくなれば、どのような影響があるか。韓国メディアによると、2016年の協定締結後に29件の情報交換があり、今年は7件を交換したという。日本政府は件数を含めて詳細を明らかにしていないが、北朝鮮に関する情報がかなり含まれるとみられる。

以下ソース先で

8/22(木) 21:46
毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190822-00000107-mai-int